活性酸素が髪の毛に与える影響は?抜け毛の原因は酸化ストレス
活性酸素と呼ばれる物質をご存じでしょうか。
「活性」「酸素」と聞くと身体によい物質である気がしますが、実はこの活性酸素が抜け毛の原因になっているといわれています。
本記事では、そんな活性酸素がいったいどういう物質なのか、そしてその育毛への悪影響を防ぐには何をすればよいのか徹底解説しています。
ぜひ、最後までご覧ください。
活性酸素とは?髪の毛に与える影響を解説!
活性酸素は体内で自然に生成される物質で、医学界では体内の異常や病気の約9割に関わっているともいわれています。
では、活性酸素とはいったいどんなもので、なぜ発毛に悪影響を及ぼすといわれているのでしょうか。
詳しくみていきましょう。
活性酸素とは?
活性酸素とは、空気中に含まれている酸素の分子が変化した反応性の高い化合物の総称のこと。
ヒトは呼吸によって空気から酸素を体内に取り入れていますが、そのうちの約2%が活性酸素になるといわれています。
もともと活性酸素は、ほかの物質を酸化させる作用を持っています。
酸化(さんか、英: oxidation)とは、対象とする物質が電子を失う化学反応のこと。 具体的には、物質に酸素が化合する反応、あるいは、物質が水素を奪われる反応などである。 例えば、鉄がさびて酸化鉄になる場合、鉄の電子は酸素 (O2) に移動しており、鉄は酸化されていることが分かる。
引用:酸化 - Wikipedia
その作用によって体内に侵入した細菌やウイルスの攻撃から体を守りますが、活性酸素にはいくつか種類があり、過剰に増えてしまうと細胞を攻撃してしまうだけでなく、抜け毛だけでなくガンや生活習慣病を引き起こすともいわれている物質です。
このように、活性酸素が細胞を攻撃してしまうまでの流れを「酸化」または「酸化ストレス」と呼びます。
しかし、毎日酸素から活性酸素が生み出されているにも関わらず、なぜすぐには不調が出てこないのでしょうか。
秘密は「抗酸化防御機構」と呼ばれる身体の機能にあります。
抗酸化防御機構は、活性酸素の産生を抑制したり、生じたダメージの修復・再生を促す働きを有しています。 生体が有する抗酸化防御機構には、スーパーオキシドジスムターゼ、カタラーゼ、グルタチオンペルオキシダーゼなどの内因性の抗酸化酵素に加え、ビタミンC、ビタミンE、カロテノイド類、カテキン類など外因性の抗酸化物質もあります。
引用:活性酸素と酸化ストレス
私たちの身体で、この抗酸化防御機構の力と活性酸素のバランスが取れているため健康な生活が送れるのです。
しかし、この抗酸化防御機構の力は加齢と共に衰えていき、さらに紫外線やたばこ、ストレスなどの要因でバランスが崩れてしまうことが確認されています。
それでは、実際にこの活性酸素がどのように発毛に影響を与えているのかをみていきましょう。
髪の毛に与える影響は?
毛母細胞という細胞をご存じでしょうか?
毛母細胞は、その細胞分裂によってケラチンなどの髪の毛の材料を作り出し、分裂した片方が髪の毛そのものとなる性質を持っています。
前述のように抗酸化防御機構と活性酸素のバランスが崩れて毛母細胞が酸化してしまうと、毛母細胞が正常に働かなくなり髪の毛の生成が停止。
その結果、抜ける髪の毛が目立つようになり、脱毛や薄毛といった症状に繋がってしまうのです。
発毛を阻害する5つの活性酸素とは?
発毛を阻害するといわれている活性酸素は、下記の5つ。
- 一重項酸素
- スーパーオキサイド
- 過酸化水素
- ヒドロキシラジカル
- ペルオキシラジカル
それでは、詳しくみていきましょう。
一重項酸素
一重項酸素とは、紫外線を浴びた際に体内の色素が増感剤の役目をしてつくり出す活性酸素のこと。
体内に蓄積され過ぎていると、毛母細胞を老化させてしまいます。
しかも、この一重項酸素は非常に毒性が高い活性酸素であるため、大量に発生する状態が続くと皮膚がんの原因になる可能性もあります。
体内に一重項酸素を発生させない方法は、紫外線を繰り返し浴びないようにすること。また、下記の成分は、体内から一重項酸素を除去してくれます。
- β-カロテン
- ビタミンB2
- ビタミンC
- ビタミンE
- 尿酸 など
そのため、これらの抗酸化物質(細胞の酸化されるのを抑制する物質)を食品や発毛・育毛剤などから体内に取り込むようにするとよいでしょう。
スーパーオキサイド
スーパーオキサイドとは、3大栄養素をエネルギーに変える際に発生する活性酸素のこと。
そのため、活性酸素のなかでも、ヒトの体内で最も大量に発生します。
ヒトの体内には、このスーパーオキサイドを取り除くスーパーオキサイド・ディスムターゼ(SOD酵素)という抗酸化物質がありますが、SOD酵素は20歳をピークに活性が衰えます。
そして、40歳を迎えるあたりから、体内のSOD産生能力が急激に落ちていくといわれています。
過酸化水素
過酸化水素とは、スーパーオキシドがSOD酵素に分解された後に生まれる活性酸素のこと。
この過酸化水素に水を混ぜた物質が、消毒薬のオキシドールの原料でもある酸化水素水です。
この過酸化水素は髪を黒くするメラニンを作り出すチロシナーゼという酵素を破壊してしまう活性酸素だといわれています。
さらに、体内の鉄などの金属イオンと反応すると、ヒドロキシラジカルという最も酸化力が高い活性酸素を体内に発生させてしまいます。
ヒドロキシラジカル
ヒドロキシラジカルとは、過酸化水素と体内の金属イオンが反応した際に発生する、最も酸化力が強い活性酸素のこと。
最も毒性の高い活性酸素でもあり、ガンの直接的な原因となるといわれているほか、下記の病気の原因物質でもあります。
- 動脈硬化
- 心筋梗塞
- 脳梗塞
- 糖尿病
- 胃潰瘍
- 関節リウマチ
- 白内障
細胞を老化(酸化)させる活性酸素でもあるため、スーパーオキサイドや過酸化水素が発毛を阻害する活性酸素といわれている理由は、最終的にこのヒドロキシラジカルを体内に発生させてしまうためです。
ペルオキシラジカル
活性酸素を広義で捉えた場合、生体反応で生じるペルオキシラジカル(ヒドロペルオキシルラジカル)も発毛を阻害します。
ペルオキシラジカルによって頭皮の皮脂が酸化されたことで生成される物質が、消化器官や血液の流れに悪影響を及ぼす過酸化脂質。
その過酸化脂質によって血液の流れが悪化すると、発毛に関わる細胞に栄養が届きにくくなり発毛にも悪影響が出ます。
活性酸素は髪の毛の大敵!体を酸化させないためにできることは?
活性酸素は生きるために欠かせない物質ですが、その量が増えすぎてしまうと毛母細胞が酸化してしまい髪の毛に悪影響を及ぼすというのは前述のとおり。
では、その酸化を防ぐためにはどのような対策ができるのでしょうか。
日常的に簡単に取り入れられる方法を紹介します。
対策①|抗酸化作用のある食材を食べる
抗酸化防御機構が衰えてしまうことによって、活性酸素とのバランスが崩れやすくなってしまいます。
抗酸化作用を補う食べ物を摂取することで酸化を防ぐ効果が得られます。
まず、抗酸化作用が大きく期待できる食材としてはブロッコリーが挙げられます。
どんな野菜にも「ファイトケミカル」と呼ばれる抗酸化作用の高い栄養素が含まれていますが、ブロッコリーにはなんと200種類以上のファイトケミカルが含まれているのです。
ブロッコリーの芽であるブロッコリースプラウトにも同様のファイトケミカルが含まれているため、料理に合わせて使いやすいのも嬉しいですね。
次に、細胞のアンチエイジングに効果があるビタミンEが多く含まれた食材もおすすめ。
ビタミンEは良質な油脂に多く含まれることが多く、ひまわり油や大豆油、アーモンドなどのナッツ類を積極的に摂取できるとよいでしょう。
さらに、育毛に着目するならばアミノ酸の抗酸化作用も欠かせません。
アミノ酸は抗酸化物質であるうえに、結合するとタンパク質になるため髪の毛の素となるケラチンの合成に必要不可欠な存在。
アミノ酸は肉類・魚類・卵・チーズなどの乳製品に多く含まれているため、毎日摂取するようにしましょう。
対策②|軽い運動で抗酸化作用を補う
ストレスは活性酸素を生み出してしまう大きな要素といわれていますが、このストレスを除去するために適度な運動を行うことは非常に効果的。
しかし、ここで注意していただきたいのは「決して過度な負荷をかけない」という点です。
過度な運動で呼吸量が増えると、そのぶん取り込む酸素の量が増え活性酸素が多く生み出されてしまうということがわかっています。
せっかく健康のために行ったことが裏目に出てしまってはもったいないですよね。
さらに、軽い運動は血流を促進するため、育毛や発毛にも効果が期待できます。
さいごに|活性酸素を撃退して発毛対策しよう!
今回は、活性酸素が与える髪の毛への影響について解説してきました。
活性酸素は取り込んだ酸素をもとに体内で生成されるため、絶対に避けられない物質。
本記事でも紹介したとおり、発毛に悪影響を及ぼす面もありますが、なくてはならない物質でもあります。
活性酸素をなくすのではなく、衰えてしまった抗酸化作用を補う方法で毛母細胞の酸化を防ぐことが重要。
活性酸素は体内に侵入した細菌やウイルスの攻撃から体を守ってくれる物質である一方、体内で過剰に生成されると、発毛だけでなく健康にも悪影響が出てしまいます。
その状態を放置すると、薄毛や抜け毛が増加するだけでなく場合によっては命に関わることもあるため、抗酸化物質などで活性酸素を抑制するようにしましょう。
最後に、本記事の内容をまとめます。
- 活性酸素とは、空気中に含まれている酸素の分子が変化した反応性の高い化合物の総称
- 活性酸素が発毛を阻害するのも、酸化によって発毛に関する細胞が老化したことが原因
- 発毛を阻害する活性酸素は「一重項酸素」「スーパーオキサイド」「過酸化水素」「ヒドロキシラジカル」「ペルオキシラジカル」
本記事が、活性酸素と発毛との関係性について知りたい方の参考になれば幸いです。