タンパク質で髪の毛は増える?不足すると薄毛になるのは本当?
育毛に欠かせない栄養素は複数存在しますが、なかでも特に重要性が高い栄養素がタンパク質です。
そもそも、タンパク質が育毛に欠かせない理由は、髪の毛の主成分であるケラチンと大きく関係しているためです。
本記事では、発毛とタンパク質との関係性をテーマに解説しています。
ケラチンの特徴や効果の高い栄養素のおすすめ摂取方法についても紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
育毛におけるタンパク質の重要性とは?
ここでは、育毛におけるタンパク質の重要性や髪の毛の主成分であるケラチンとのタンパ関係性などについて解説します。
ケラチンとタンパク質との関係性は?
髪の毛を構成する成分のうちの99%を占めるケラチン。
タンパク質は、髪の毛の主成分であるケラチンと深く関わっています。
その理由は、ケラチンがタンパク質の1種のため。
細胞骨格というタンパク質が重合したものがあり、これによって、細胞が能動的な動きをしたり形が崩れない様にしたりしています。
ケラチンは毛や爪といった角質組織の上皮細胞の中間径フィラメントを構成しているタンパク質です。
細胞骨格(さいぼうこっかく、英語: cytoskeleton, CSK)は、細胞質内に存在し、細胞の形態を維持し、また細胞内外の運動に細胞骨格は、細胞の形状とその機械的特性に関与します。細胞運動、細胞分裂、細胞内輸送、細胞シグナル伝達等、多くの動的な細胞プロセスが細胞骨格と連動します。そのため、細胞骨格は、いくつかの細胞質タンパク質や細胞小器官と相互作用して機能します。
引用:細胞骨格とは?
タンパク質が育毛に効くメカニズムは?
タンパク質が育毛に効く理由は、ケラチンがタンパク質の1種のためですが、実はそれだけではありません。
タンパク質は髪の毛だけでなく、カラダを構成する主成分でもあります。
もともと、ヒトのカラダは水分と脂質を除くと、ほとんどがタンパク質で構成。
筋肉や骨、臓器、皮膚の主成分もタンパク質で、特に筋肉は水分を除くと約80%がタンパク質ともいわれています。
また、毛包や内毛根鞘など、育毛に関係するほとんどの部位でタンパク質が含まれます。
厚生労働省が発表している「日本人の食事摂取基準(2020年版)策定検討会報告書」によると、15歳以上のタンパク質維持必要量は、下表のとおり。
年齢 | タンパク質維持必要量 |
---|---|
15〜59歳 | 0.64〜0.67 (g/kg 体重/日) |
60〜84 歳 | 0.64〜0.74 (g/kg 体重/日) |
15〜59歳で、0.64〜0.67 (g/kg 体重/日)、60〜84 歳で0.64〜0.74 (g/kg 体重/日)です。
これより下回っていても、すぐに髪の毛に影響が出るということではありません。
しかし、タンパク質の摂取不足が続くことで、発毛量が減ったり抜け毛が増えたりする可能性があるため注意しましょう。
タンパク質の摂取が育毛に欠かせない理由とは?
タンパク質は育毛に効果的で代表となる栄養成分だと広く知られていますが、ではなぜ丈夫で健やかな髪と頭皮環境づくりに働きかけてくれるのでしょうか?
ここではタンパク質の摂取が育毛に必要不可欠な理由をわかりやすく解説していきたいと思います。
髪と頭皮を作る構成原料となるため
頭皮環境が整っていたり、髪にしなやかさがあったとしても、タンパク質が不足していては効率的で安定した育毛が難しくなってしまいます。
その理由は、タンパク質は髪と頭皮を作る構成材料となり、30%コラーゲンが含まれていることがわかっています。
タンパク質の不足は髪のツヤや頭皮の弾力、しなやかさを助けるコラーゲンが不足していることとイコールのため、パサつきや抜け毛になりやすい髪質に変わってしまうことも。
このようなことからも、タンパク質の摂取は頭皮と髪を健やかに育み、維持していくためにも欠かせない栄養素となるのです。
幸せホルモン・セロトニンの分泌を助ける
髪や頭皮のダメージ、コンディションにおけるトラブルは、メンタル面の状態に影響されやすいことがわかっています。
ストレスやイライラ、不安感が募っていると、血液の質が悪くなったり、細胞の老化の原因となる活性酸素がたくさん発生して血管を傷つけ、頭皮と髪に栄養が摂りこまれにくくなってしまいます。
タンパク質は、健やかなメンタル面を維持してストレスの耐性をつける、幸せホルモンのセロトニンの分泌を助ける働きがあります。
メンタル面の不安定さで抜け毛や薄毛が進行している場合は、タンパク質摂取によるセロトニンが不足している可能性があるため、このような悩みがある人にこそタンパク質は欠かせない栄養と言えるのです。
ダメージ修復のホルモン分泌を助ける
抜け毛や薄毛をはじめ、白髪やパサつき、猫っ毛などの髪と頭皮のダメージは、古い細胞を新しい細胞に入れ替えて修復する、成長ホルモンの恩恵を受けることが改善・予防に重要なポイントになります。
タンパク質は、トレーニング中や睡眠時に分泌が活性する成長ホルモンの分泌を助け、髪と頭皮のダメージをケアしながら丈夫な質・環境に整えてくれます。
成長ホルモンは10代をピークに分泌が一気に減少してしまうことがわかっているため、不足を補うためにもトレーニングや夜の食事は十分なタンパク質を補って成長ホルモンの分泌を助ける必要があるのです。
免疫力アップをサポートする
免疫力というと、病気の原因となるウイルスや病原菌からカラダを守るためのものというイメージがありますが、実は育毛にも深い関係性があります。
免疫力の低下は、髪と頭皮の健康ケアになくてはならない栄養を摂りこむことができなくなり、抜け毛や薄毛が進行しやすくなります。
タンパク質は、免疫力の向上をサポートし、免疫細胞を増やす働きがあります。
毎日必要な量のタンパク質を食事やプロテイン、サプリメントから十分に補っていると、タンパク質の免疫細胞を増やす働きが活きて育毛に重要な栄養の摂りこみが効果的になるのです。
ハリのある頭皮環境を育てる
頭皮のゆるみやたるみは、毛穴がゆがんで老廃物・汚れが詰まりやすくなり、毛根への栄養供給の支障になってしまいます。
また頭皮の毛穴がゆがんでいると、生えてくる髪がうねったりまとまりのないくせ毛に変わってしまう心配も…。
タンパク質は、頭部に存在している側頭筋・前頭筋・後頭筋の筋肉育成をサポートし、ハリのある皮膚へと導きます。
頭皮の筋肉が丈夫でしなやかさがあると、筋肉が持つ熱産生によって頭皮の冷えを改善予防したり、酸素や血液を運ぶ作用が正常になっていきます。
髪の毛に欠かせない栄養素を紹介
発毛に欠かせない栄養素は、タンパクだけではありません。
ここでは、他の栄養素として「ビタミン」「ミネラル(亜鉛)」についても紹介します。
タンパク質
21種類のアミノ酸が、鎖状に多数連結(重合)してできた高分子化合物がタンパク質です。
アミノ酸の合成は生物の体内で行われ、合成してできたタンパク質は生物の構造そのものといえるでしょう。
ビタミン
ビタミンも発毛に欠かせない栄養素ですが、タンパク質とは異なり、生物の体内で十分な量を合成できません。
そのため、肉類や緑黄色野菜などのビタミンを多く含む食品から摂取する必要があります。
ミネラル(亜鉛)
ミネラルのなかでも、ヒトの体内に存在し、栄養素として欠かせないものを必須ミネラルと呼び、16種類が存在。
なかでも、特に発毛に関わる栄養素が亜鉛です。
亜鉛には、摂取したタンパク質を筋肉や骨、臓器、髪の毛などの組織に変える働きがあります。
そもそも、ミネラルは体内で合成できないため、肉類や魚介類などの食品から摂取する必要があります。
タンパク質と育毛に効果的な栄養が摂れる食べ物まとめ!
タンパク質は育毛はもちろん、わたしたちが毎日の健やかに過ごすために欠かせない栄養があり、摂取によって全身の健康と美容にアプローチできます。
そんな理想的な栄養でもあるタンパク質は、意外に身近な食べ物に多く含有されています。
ここではタンパク質と育毛に効果的な栄養が摂れる、代表的な食べ物と髪と頭皮への作用をわかりやすく解説!
今日からの食事にご紹介する食べ物を十分に摂り入れて、カラダの内側からの育毛にアプローチしていきましょう。
牛肉
牛肉は髪と頭皮の新陳代謝を助けるタンパク質をはじめ、毛母細胞の分裂を助けて育毛に働きかける亜鉛が豊富に含まれています。
牛肉100gを食べると、
- 19gものタンパク質
- 5mgもの亜鉛
をバランスよく補うことができるので、ひとつの食べ物で育毛に効果的な栄養を摂りたい場合に牛肉はおすすめの食べ物と言えます。
卵
ここ最近、卵に含有された栄養成分をシャンプーや育毛剤、まつ毛美容液に使用した製品が増え、卵が髪に良い食べ物という認識が広がりつつあります。
卵が育毛に効果的な食べ物と言えるのは、質の良いタンパク質以外にも、
- 髪や頭皮の角質層を構成する「ケラチン」
- コラーゲンやケラチンの合成を助ける「ビオチン」
- 太くて丈夫、ツヤのある髪を育む「アミノ酸」
といった栄養成分が豊富で、1日1~2個程度食べるだけでも育毛に良い栄養をバランスよく摂ることができます。
大豆製品
豆や豆腐、ソイミルク(豆乳)といった、大豆から作られる食べ物は、ヘルシーなのに質の良い植物性タンパク質が豊富に含まれています。
大豆製品が抜け毛や薄毛の予防・改善に効果的だと言われているのは、
- 毛髪細胞にコラーゲンを増やす、エストロゲンと似た働きを持つイソフラボンが豊富
- イソフラボンが抜け毛の原因となる5αリタクターゼの働きをブロック
するという性質があるからです。
さらに大豆製品は、脱毛因子を増やす原因・ジヒドロテストステロン(DHT)に作用して阻害し、丈夫でツヤのある髪の条件となる成長期の髪を増やす働きがあることも明らかになっていますよ。
タンパク質の吸収UP!育毛に効果的な摂り方
育毛に効果的なタンパク質は、吸収力を高めるための摂り方を押さえておくと、頭皮と髪のタンパク質不足を防いで、将来的な抜け毛や薄毛の予防にもアプローチできます。
ここではタンパク質を効率的に補って育毛にアプローチするために、押さえておきたい摂取ポイントをお伝えしてみたいと思います。
ビタミンB群と一緒に補うこと
タンパク質を摂る際は、酵母パンや香辛料に含有が多いビタミンBを一緒に補うことがおすすめです。
この摂り方が育毛に効果的な理由は、ビタミンB群がタンパク質の分解をガードして合成を助け、栄養不足を防ぐ働きがあるからです。
ビタミンB群は抜け毛や薄毛の原因、新陳代謝の乱れを改善する作用もあるため、タンパク質と一緒に摂って相乗的な育毛効果にアプローチしましょう。
夕食、トレーニング後に補う
夕食時にタンパク質を摂っておくと、睡眠時の成長ホルモンの分泌を助けて眠りながら育毛アプローチができます。
また、運動をしたり、ハードに働く・作業をすると、筋肉が疲労して体内のタンパク質が減少・不足しやすくなるため、運動や仕事後も欠かさずにタンパク質を補うようにしましょう。
植物性のタンパク質を意識的に摂る
根菜やフルーツ、キノコなどに含有が多い植物性のタンパク質は、毛根への栄養補給に重要なかかわりのある、質の良い血液を作るレシチンが豊富に含まれています。
植物性タンパク質のレシチンは、頭皮の血行を助けたり、脂質が少ないことで頭皮の過剰な皮脂分泌による毛穴詰まりが気になる人にも役立つ栄養素となっていますよ。
発毛に効果的な栄養素の摂取はサプリがおすすめ
ここでは、育毛に必要なタンパク質を摂取する方法について、詳しくみていきましょう。
そんなタンパク質を効果的に摂取する方法は「タンパク質を食品から摂取する」「サプリメントなどでアミノ酸を摂取する」の2つ。
タンパク質が多く含まれている食品を、下記に列挙します。
- 肉類
- 魚介類
- 卵類
- 大豆製品
- 乳製品
もともとタンパク質は、アミノ酸が集まって構成されています。
そのため、サプリメントなどを活用してアミノ酸を摂取し、体内で生成されるタンパク質の量を増やす方法もおすすめです。
ちなみに、タンパク質は20種類のアミノ酸で構成されており、そのうち11種類は、ヒトの体内で合成できます。
必須アミノ酸と呼ばれる残りの9種類は、体内で合成できません。
参考までに、ヒトの体内で合成できない必須アミノ酸を下記に列挙します。
サプリメントなどを活用しながら効率よく摂取することで、発毛・育毛効果が促進するでしょう。
さいごに|タンパク質を効率的に摂取して育毛に活かそう!
栄養のバランスが整った食事をしていれば、育毛に必要なタンパク質は摂取できます。
また、他の育毛に欠かせない栄養素ともいえる、ビタミンやミネラル(亜鉛)も効率よく摂取できるでしょう。
とはいえ、毎日の食事でタンパク質などの発毛に欠かせない栄養素が足りていない方も多いようです。
発毛に興味のある方は、食生活の見直しも重要だといえるでしょう。
最後に、本記事の内容をまとめます。
- タンパク質は、育毛に欠かせない栄養素の1つ
- ケラチンはタンパク質の1種
- ケラチンとは、毛や爪といった角質組織の上皮細胞を構成しているタンパク質
- タンパク質の摂取量が減っただけで、毛量が減ったり髪質が弱くなったりする
- おすすめのタンパク質の摂取方法は、食品やサプリメント
本記事が、育毛とタンパク質の関係性について、詳しく知りたい方の参考になれば幸いです。