t-フラバノンの育毛効果はいかほど?女性型脱毛症には意味がないのは本当?
気になる抜け毛・薄毛の対策として、発毛剤や育毛剤を使う方もいることでしょう。
使用する発毛・育毛剤などのヘアケアアイテムを選ぶ際には、どんな成分が配合してあるかが重要。
発毛・育毛成分はいくつも種類が存在し、それぞれに発毛・育毛へのアプローチが異なります。
本記事では、抜け毛や薄毛に効く成分として昨今注目を集めている「t-フラバノン」の発毛・育毛効果について解説しています。
ぜひ、最後までご覧ください。
「t-フラバノン」が髪の毛に与える影響とは?
そもそも「t-フラバノン」とは、どういった成分なのでしょうか。ここでは、「t-フラバノン」に関する基本的な情報と効果について解説しています。
それでは、詳しくみていきましょう。
「t-フラバノン」とは?
フラバノン(flavanone)とは、天然に存在する有機化合物群であるフラボノイドの1つ。そして、フラバノンには、下記の種類が挙げられます。
■エリオジクチオール
■ヘスペレチン
■ホモエリオジクチオール
■イソサクラネチン
■ナリンゲニン
■ピノセムブリン
■サクラネチン
■ステルビン
フラバノンはこれらの植物などから抽出された成分です。
しかし、「t-フラバノン」は、上記で紹介した植物から抽出されたフラバノンとは少し異なります。
「t-フラバノン」とは、大手消費財化学メーカーの「花王」が作った「トランス-3,4-ジメチル-3-ヒドロキシフラバノン」という化合物のこと。
主にヨーロッパに自生しており、アメリカでも現在多くの草地で野生化しているセイヨウオトギリソウ(西洋弟切)というハーブ「アスチルビン」から抽出されています。
こういった既存の成分を組み合わせる事で効果のある成分が誕生する事も多いです。ミノキシジルの3倍の効果があると言われている「キャピキシル」もそうですね。
ちなみに、「t-フラバノン」の「t」は「trance」の頭文字のこと。
そして、アスチルビンは、セイヨウオトギリソウや中国南部に自生している黄杞葉などに多く含まれている成分で、下記のような効果が期待できます。
●抗酸化作用
●抗アレルギー作用
花王は、「アスチルビン」が、これらの効果に加えて、発毛・育毛へのアプローチ効果も期待できることに着目しました。
そして、「アスチルビン」の発毛・育毛へのアプローチ効果をより安定させ、高機能となるように成分「t-フラバノン」を開発した経緯があります。
「t-フラバノン」の3つの効果を紹介!
「アスチルビン」の効果をより安定させ、高機能化した「t-フラバノン」は、下記の育毛効果が期待できます。
それぞれについて、詳しく解説していきます。
毛母細胞増殖促進効果
毛髪は、皮膚の外に出ている毛幹と、皮膚の下に隠れている毛根で構成されています。
その毛根の膨らんだ部分が毛球で、その毛球の内部にあるのが毛乳頭。
そして、毛球を覆っている細胞が毛母細胞です。その後、毛母細胞が細胞分裂することで髪は成長していきます。
つまり、毛母細胞増殖促進効果によって毛母細胞の細胞分裂が促進されるということは、育毛に効果的ということがいえます。
TGF-βの活性化の抑制
「TGF-β」は、細胞増殖・分化を制御し、細胞死を促すことが知られているサイトカイン(細胞の働きを調節する分泌性蛋白の1種)です。
生体の恒常性を維持する機能も持っており、がん細胞抑制効果もみられます。
しかし、体内で増えすぎて、働きが活発になりすぎると脱毛症や育毛抑制効果を高めてしまうため注意しましょう。
「t-フラバノン」は、この「TGF-β」の活性化の抑制して、脱毛防止の働きを持ちます。
脱毛予防
脱毛予防が期待できる理由は、「t-フラバノン」に細胞接着分子を増やす働きもあるため。
細胞接着分子とは、細胞の表面に存在し、細胞同士あるいは細胞と細胞外マトリックス(基質)の接触による接着にかかわる分子の総称のこと
引用:細胞接着分子
体内の細胞接着分子が増えることで、脱毛や育毛抑制効果を下げることができるといわれています。
ぶっちゃけ「t-フラバノン」が発毛に効果ある?
「t-フラバノン」は、「TGF-β」の活性化の抑制と細胞接着分子を増やすして脱毛のリスクを下げ、毛母細胞の細胞分裂を活性化させて育毛にアプローチする成分です。
そのため育毛と抜け毛予防効果は期待できますが、実をいうと発毛効果はそれほど期待できません。
下記は日本皮膚科学会というところが発表しているおすすめの発毛方法の一覧表です。
正直利権ありきの表ではありますが、行っても良いがおすすめはしないという順位となっております。
医薬品ではなく化粧品という位置付けなので、発毛効果は期待が出来ないという事でしょう。
ただ、下記のようなことを目的とするのであれば、「t-フラバノン」配合のヘアケアアイテムを選ぶと良いと思います。
●髪を太くさせたい
●髪の本数を増やしたい
●抜け毛を防ぎたい
つまり、「t-フラバノン」は、発毛というよりも育毛や脱毛防止に大きな効果を発揮する成分ということです。
t-フラバノンに副作用はある?
副作用はありません。
化粧品成分である為、発毛効果は謳えませんがその分副作用もないので、使用する上で問題はないでしょう。
ただ、効果のある成分は初期脱毛を起こしやすいと言われておりますので、心構えとしてもっておいた方が良いでしょう。
女性型脱毛症にt- フラバノンを使っても改善されない
「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版」の12ページらへんにt-フラバノンについての解説分があります。
0.1%および 0.3% t- フラバノン配合育毛剤 を用いた,77 名の男性被験者を対象とした観察期間 30 週間のランダム化比較試験において,軽度改善以上の 改善率は,プラセボ剤群は約 40%,0.1% t-フラバノン 配合育毛剤群は約 75%,0.3% t-フラバノン配合育毛剤 群は約 70%であった90).なお,女性型脱毛症に対する t-フラバノンの有効性を示す信頼性の高い報告はない
という文面に男性には効果が有るが、女性型脱毛症 つまり「FAGA」には効果が無いという事が記されています。
さいごに|「t-フラバノン」で育毛しよう!
今回は、「t-フラバノン」の育毛効果について解説してきました。
「t-フラバノン」は花王が開発した成分のため、花王のヘアケアアイテムに「t-フラバノン」が配合されている商品も数多く存在します。
発毛効果も見込めますが、どちらかというと育毛効果が高い成分のため、AGA治療での効果はそれほど期待できません。
しかし、抜け毛予防や育毛による発毛対策をするのであれば、「t-フラバノン」配合のヘアケアアイテムはおすすめです。