不飽和脂肪酸と育毛の関係は?おすすめの食材を2つ紹介!
今回のテーマは、発毛と不飽和脂肪酸です。
「脂肪」と聞くだけで、あまりよいイメージはないかもしれませんが、そこは安心してください。
不飽和脂肪酸は、体内では生成することができず、外から取り入れるしかない、人間には必須の物質です。
発毛にも関係している大事なものですので、ぜひご覧ください。
不飽和脂肪酸とは?発毛との関係性を知ろう!
ここでは、不飽和脂肪酸と発毛との関係性について解説しています
不飽和脂肪酸とは?
体を作ったり動かしたりするためのエネルギー源として「3大栄養素(糖質、脂質、たんぱく質)」が挙げられますが、不飽和脂肪酸とはその3大栄養素の中の脂質の1つです。
不飽和脂肪酸の役割は、動脈硬化や高血圧、血栓症の予防、アトピー性皮膚炎を改善、視覚機能の改善を助長する効果などがある大切なもの。
そんな不飽和脂肪酸が、発毛にどのように作用してくるのでしょうか?
結論をいえば、頭皮のバリア機能を修復します。
次で、詳しくみていきましょう。
不飽和脂肪酸は頭皮のバリア機能を修復してくれる!
人には代謝機能を維持するため脂肪酸が必要なのですが、体内で作ることができず、食べ物など外部から取り入れるしかない成分を「必須脂肪酸」といいます。
不飽和脂肪酸もこの必須脂肪酸の1つで、具体的には、下記の3つが挙げられます。
- リノール酸
- リノレン酸
- アラキドン酸
この3つの不飽和脂肪酸は、頭皮から分泌される成分でもあります。
頭の脂というと、ベトベトやギトギトという、嫌なイメージがありませんか?
確かに、多すぎる頭皮の脂質は、発毛の妨げになります。しかし、毎日のシャンプーによる頭皮脂の落としすぎは、頭皮に悪影響が及んでしまうことも覚えておいてください。
頭皮の脂分は皮膚を守ってくれる効果があり、雑菌の侵入を防いでくれているのです。
また、髪の毛1本1本の表面を守り、キューティクルが剥がれるのを防ぐとともに、ツヤ出しの役目も果たしてくれています。
したがって、洗浄力の強いシャンプーで皮脂をきれいサッパリ洗い流してしまうと、フケや頭皮の荒れ、ひどい場合には抜け毛や薄毛に繋がる可能性があります。
とはいえ、必要な皮脂だけを残し、余分な部分だけを洗い流すというのも不可能な話です。
完全に無くなってしまうことのないように、皮脂自体を作ってくれる不飽和脂肪を、必要量きちんと摂取することが大切といえるでしょう。
今では、発毛に役立つ不飽和脂肪酸入りのシャンプーやトリートメントもありますが、やはり1番望ましいのは、普段の食事で過不足なく摂取することです。
腸内環境を整えて育毛にアプローチ
魚やナッツ、肉類などに含有が多い不飽和脂肪酸は、腸内環境を整えて育毛にアプローチする効果が期待できます。
腸内環境と髪、頭皮の結びつきは一見イメージできない要素ですが、
- 髪と頭皮の健康に必要な栄養素を摂りこむ
- 髪と頭皮のダメージ原因となる老廃物、毒素を排出する
- 免疫細胞を整えて雑菌の侵入を防ぐ
などなど、腸内環境の健やかさは効果的で安定した育毛に欠かせない要素となります。
腸内環境の乱れは、免疫機能が弱まって育毛に重要な栄養を摂りこめなくなったり、髪と頭皮が新陳代謝・ターンオーバーの際に毒素や老廃物が頭皮表面に浮かび上がり、毛穴つまりを起こして育毛を妨げてしまいます。
腸にはこのように髪と頭皮に深い結びつきがあり、不飽和脂肪酸は善玉菌を増やして悪玉菌を減らすため、腸が持つ働きを活かしながら育毛にアプローチできるのです。
頭皮の皮脂分泌をコントロールする
抜け毛や薄毛が常態化し、なかなか改善・予防できないのは、頭皮の皮脂分泌のバランスが崩れ、毛穴詰まりを起こして髪の成長が妨げられている可能性が考えられます。
そもそも頭皮の皮脂分泌は、食事から摂取する糖質や脂質の量によって分泌量が左右すると言われています。
不飽和脂肪酸は、頭皮の過剰な皮脂分泌を原因となる中性脂肪の減少に働きかけることがわかっています。
中性脂肪対策専用のサプリメントやドリンクにも使用されることが多い不飽和脂肪酸は、頭皮の過剰な皮脂分泌の原因となる悪玉コレステロール、中性脂肪を減らして頭皮環境の健やかさにアプローチしてくれるのです。
髪をつややかに保ち薄毛を目立たなくする
つややかさのある髪は、光の反射を受けることで薄毛を目立たなくし、若々しく華やかな印象に働きかけてくれます。
不飽和脂肪酸は、数多くのヘアケアアイテムをリリースしている有名ブランド・ミルボンの研究により、髪にツヤを与えてさまざまなエイジングサインをカバーできるという報告がなされています。
ミルボンによる不飽和脂肪酸の研究は、毛髪内に不飽和脂肪酸が多いほどにつややかでなめらかな髪質に整うことを発表しているため、若々しい印象を保ちたい方にもこの栄養は欠かせない種類と言えます。
滞った血流を改善して育毛に働きかける
抜け毛が増え、薄毛が常態化しているのは、髪と頭皮に栄養を運ぶ役割のある、血流が滞っていることが原因のひとつ。
不飽和脂肪酸のひとつとなるオメガ3は、
- 不純物のないサラサラの質の良い血液を作り出す
- 血流をスムーズにして髪と頭皮の酸素、栄養供給に働きかける
という役割があり、サラサラケアに特化したサプリメント・健康食品にも幅広く使用されています。
不飽和脂肪酸で血流が改善されると、頭皮はもちろんお肌やカラダの健康にもアプローチできるため、薄毛以外の悩みがある方にこそ積極的に補ってほしい栄養と言えます。
不飽和脂肪酸には種類があった!育毛との関係性をそれぞれ解説
ひとことに不飽和脂肪酸と言っても、この栄養成分にはそれぞれに働きが異なり、含有されている食材も違ういくつもの種類が存在しています。
不飽和脂肪酸の種類と育毛の関係性を知ると、今気になっている悩みに応じたタイプを選択して食生活に上手に摂り入れることができます。
不飽和脂肪酸それぞれの種類と含有が多い食べ物、育毛にどんなアプローチをするのかなど気になるポイントをまとめてみました。
n-3系多価不飽和脂肪酸
n-3系多価不飽和脂肪酸は魚や魚介類、植物性オイルのことを指すえごま油やアマニ油に含有が多い不飽和脂肪酸のひとつです。
n-3系多価不飽和脂肪酸は、
- 頭皮、髪トラブルの原因となるアレルギー物質の抑制に働きかける
- 頭皮と髪にうるおいを与える
- 動脈硬化を予防し、血管の健康を保つ
という働きがあると言われています。
血管の健康と頭皮と髪のうるおいにアプローチする不飽和脂肪酸でもあるため、毎日の食事にバランスよく補うことがおすすめですよ。
n-6系多価不飽和脂肪酸
n-6系の多価不飽和脂肪酸は、まぐろやイワシ、カツオの魚類、大豆油やひまわり油などボタニカル素材のオイルに含有が多くあります。
この不飽和脂肪酸の注目すべき栄養成分・リノール酸は、以下のような重要な作用で育毛に働きかけてくれます。
- 髪、頭皮の水分と油分のバランスを整える
- バリア機能を強化して乾燥を防ぐ
- 優れた抗炎症作用で頭皮環境を健やかに保つ
リノール酸は、育毛やダメージ専用のヘアケアアイテムにも使用されることが多く、乾燥やバリア機能の低下が原因の薄毛・抜け毛に悩む方に補っておきたい栄養成分となっています。
一価不飽和脂肪酸
一価不飽和脂肪酸は、ナッツ類全般、オリーブオイル、牛肉や鶏肉に含有が多い不飽和脂肪酸です。
一価不飽和脂肪酸に含有された注目の成分・オレイン酸は、
- パサつきやうねりのない美髪に整える
- 紫外線や摩擦など外的な刺激から頭皮と髪を守る
- サラサラの血液を生成してスムーズなめぐりを助ける
という育毛に密接な作用が備わっています。
不飽和脂肪酸を摂るには?発毛におすすめの食材を紹介!
次に、発毛に効果的といわれている不飽和脂肪酸を含む食材について紹介します。今回紹介する食材は、下記の2つ。
それでは、詳しくみていきましょう。
不飽和脂肪酸を含む食材①|青魚
青魚に含まれる「DHA」や「EPA」といえば、もはやお馴染みの栄養素ではないでしょうか?
DHAもEPAも、魚にしか含まれていない貴重な不飽和脂肪酸であり、特にサバ、イワシ、マグロ、サンマなどに多く含まれています。
DHAは、コレステロールの上昇を抑えてくれるとともに、中性脂肪を下げる作用があります。
また、EPAには、血栓予防や血管の収縮を抑える効果があります。そして何より、発毛にも効果的といわれています。
しかし、食べる季節や調理法によっては、これらの大事な成分が十分に摂取できないことがあるので注意が必要。
DHA・EPAは、旬の新鮮な魚に多く含まれており、部位によってもその量が異なっています。
特に多く含まれているのは目玉の部分です。
また、青魚は鮮度が落ちると酸化してしまい、不飽和脂肪酸も減少してしまうので、新鮮なうちに摂取しましょう。
さらに、DHA・EPAはとてもサラサラしていて流れ出やすい物質であり、熱に弱いのが特徴。
例えば、焼き魚にすることで約20%、揚げ物にいたっては約50%が失われてしまうといわれています。
そのため、効果的に摂取するには刺身がおすすめ。また、加熱調理をするのであれば、味噌汁や煮物がおすすめです。
厚生労働省によれば、「DHA・EPAは、1日1g~2g程度取り入れることが、人体には望ましい」とされています。この量を摂るには、サンマであれば約半尾分。刺身なら、およそ5切れとなります。
不飽和脂肪酸を含む食材②|ナッツ
アーモンドやヘーゼルナッツ、くるみ、ピスタチオなどのナッツ類にも不飽和脂肪酸が多く含まれています。
さまざまなビタミン類、食物繊維が含まれているので、抗酸化作用や腸内環境を整える効果があるとされています。
ただし、髪の毛によいとされる栄養素も豊富に含まれているといわれていますが、「ナッツ類を食べるだけで、発毛効果を得られる」というわけではありません。
そもそも発毛するためには、体の健康状態が良好であることが重要です。
ナッツ類に含まれるさまざまな栄養素を摂取することによって、体の健康に役立つことはもちろんのこと、間接的に発毛にもよい影響を与えるというぐらいに考えておきましょう。
不飽和脂肪酸を含む食材③|鶏肉や牛肉
不飽和脂肪酸は、日頃の食生活に摂り入れることが多い、鶏肉や牛肉にも含有が多くあります。
鶏肉や牛肉に含有されている不飽和脂肪酸は、他の食材に含まれている不飽和脂肪酸に比べると、体内への吸収力に優れていたり、溶け出しやすいため調理に使うことで他の食材への浸透もスムーズと言われています。
そして鶏肉や牛肉は、不飽和脂肪酸以外にも、
- 髪と頭皮を作る構成原料となるタンパク質
- 新陳代謝を助けたり皮脂分泌をコントロールするビタミンB群
- 毛母細胞の細胞分裂を助けて育毛にアプローチする亜鉛
といった育毛に大切な栄養成分も含有しているため、ひとつの食べ物でいろいろな栄養を補いたい人にこそ摂りたい食材となっています。
不飽和脂肪酸を含む食材④|えごま油やアマニ油
美容や健康に良いとされるオイルの種類がたくさん展開されるようになっている現代、えごま油やアマニ油も不飽和脂肪酸をたっぷりと含み、頭皮環境の改善や髪質の強化にアプローチしてくれます。
不飽和脂肪酸を多く含む、えごま油とアマニ油それぞれの育毛との関係性をまとめてみました。
えごま油と育毛の関係性 |
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アマニ油と育毛の関係性 |
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えごま油やアマニ油は、クセが少ないことで調理にも使用しやすく、ヨーグルトやスムージー、オートミール、ミューズリーなどのトッピングとしても活用できます。
食べ物の食感をなめらかに整えるメリットがあるため、食事に摂り入れることでいつもとは違った美味しさ・新鮮味を感じながら、続けやすい育毛インナーケアが実現できるでしょう。
またアマニ油の場合は、頭皮マッサージに活用することで環境が整うとの報告がなされています。
アマニ油の頭皮マッサージの活用は、
- 予洗いやブラッシング、シャンプーでは落としきれない毛穴汚れを浮かせて流す
- 頭皮と髪にうるおいを与えながら余分な汚れのみを絡め取って落とす
- 滞っていた血行が促されて酸素や栄養を摂り込みやすい環境に整う
- なめらかでみずみずしい質感のため使いやすく、馴染みと心地よい頭皮マッサージができる
というメリットもあり、マルチな使い方ができるところもおすすめですよ。
さいごに|発毛には頭皮環境が大切!不飽和脂肪酸でメンテナンス!
今回は、不飽和脂肪酸と発毛との関係性について解説してきました。
栄養バランスを整えるために不飽和脂肪酸の摂取を習慣化させることは、健康的で楽しい毎日に繋がるといえるでしょう。
また、健康な体を維持することで頭皮環境や発毛環境が整い、薄毛や抜け毛の予防になります。
日々の生活に、青魚やナッツを取り入れながら発毛対策を行い、明るく元気な毎日を過ごしましょう