毛根幹細胞と毛包幹細胞の違いは?髪の毛の知識を解説!
再生医療といった言葉とともに多く語られるようになった幹細胞。
実はこの幹細胞のなかに、発毛するうえで非常に重要な役割を持ったものがあるということをご存知でしょうか。
その幹細胞が「毛根幹細胞」と「毛包幹細胞」。
よく似た名前の細胞ですが、いったいどのような違いがあるのかを本記事では、徹底的に解説していきます。
発毛には欠かせない「毛根幹細胞」と「毛包幹細胞」の違いは?
私たちの体のなかには、役割に応じて変化することができる、幹細胞という細胞があります。
そして今回、紹介する毛根幹細胞・毛包幹細胞は、体毛を作るように役割を振られた幹細胞が変化したもの。
この幹細胞にはもう1つ、自己複製能力と呼ばれる重要な役割があります。
本来細胞はそれぞれ分裂できる回数が決まっていますが、この幹細胞は必要に応じて何回でも複製することができるということが分かっているのです。
そして、この毛根幹細胞・毛包幹細胞の自己複製能力が必要不可欠。
それでは、この毛根幹細胞と毛包幹細胞にどのような違いがあるのか、詳しくみていきましょう。
毛根幹細胞とは?
近年、毛根幹細胞は毛球の少し上にある、バルジ領域という部分に存在していることが分かってきました。
髪の毛は一般的に、「成長期→退行期→休止期→成長期」と一定のペースでヘアサイクルを繰り返します。
そして、成長期に発毛する仕組みは、大まかに下記のとおりです。
- 休止期のタイミングで、バルジにいた毛根幹細胞が増殖して毛根の最深層にある毛球に移動。
- 毛球に移動した毛根幹細胞が、毛芽と呼ばれる細胞に変化して成長の準備を始める。
- 成長期のタイミングで、毛芽が毛母細胞に変化して細胞分裂を行って髪の毛を作る。
つまり、毛根幹細胞は幹細胞の特徴である、別の働きをする細胞に変化する能力と自己複製能力を最大限駆使して髪の毛を作り出している、大変重要な存在ということ。
では、毛包幹細胞とはどのような違いがあるのでしょうか。
毛包幹細胞とは?
前述したように、毛母細胞が分裂することで発毛していきます。
この毛母細胞を生み出すのが毛包幹細胞。さまざまな役割に応じて変化する幹細胞は、その特徴によっているべき場所が決められています。
そして、毛包幹細胞の場所も毛根幹細胞と同じようにバルジといわれていまです。
役割も、いるべき場所も同じ毛根幹細胞と毛包幹細胞。つまりこの2つは、呼び方に違いがあるだけでまったく同じ存在だったのです。
毛根幹細胞と毛包幹細胞の違いはない!発毛におすすめの方法はある?
情報によって呼び名が異なる毛根幹細胞と毛包幹細胞ですが、その中身は同じで違いはないということが分かりました。
それでは、この毛根幹細胞・毛包幹細胞を最大限生かして発毛するための方法はあるのでしょうか。おすすめの方法は、下記の3つ。
- スカルプケア製品を使用する
- ストレスを避ける
- 医療機関で幹細胞治療を受ける
それぞれの対策について、詳しくみていきましょう。
スカルプケア製品を使用する
やはり王道のやり方といえば育毛剤やスカルプシャンプーが1番に出てきますよね。
これらの製品は、含まれている成分によって毛根幹細胞・毛包幹細胞に直接アプローチすることができます。
特に近年では幹細胞を培養し、上澄みの幹細胞だけが含まれた培養液、ヒト幹細胞培養液と呼ばれる物質が話題。
もちろんそれらが入った育毛剤も開発されており、使用することで毛根幹細胞・毛包幹細胞に刺激を与えて活性化を促すことができるという研究結果が出ています。
さらに、ヒト幹細胞培養液にはコラーゲンやヒアルロン酸・必須アミノ酸など皮膚を構成する重要な成分も含まれているため、健康な頭皮を手に入れるためにも効果的です。
ストレスを避ける
忙しい現代社会。どうしてもストレスがたまりがちですよね。
ただし、髪の毛にストレスは厳禁。自律神経やヘアサイクルの乱れを引き起こして、毛根幹細胞・毛包幹細胞をがうまく働かなくなってしまいます。
これでは髪の毛が抜けてしまう原因になりかねません。
ストレスの発散方法は人それぞれあると思いますが、おすすめは頭皮マッサージ。
凝り固まった頭皮をマッサージすることでリラックス効果を得られる上に、血流がよくなり育毛にも効果が期待できる、まさに一石二鳥です。
発毛サロンや発毛クリニックで幹細胞治療を受ける
発毛を専門に提供する施設によっては、毛根幹細胞・毛包幹細胞を頭皮に直接注入する治療を行っているところがあります。
この処置により前駆細胞という細胞から成長因子が出て、休止している毛根幹細胞・毛包幹細胞を活性化させることが可能。
仕組みはヒト幹細胞培養液や成長因子(グロスファクター)を使用してバルジ領域まで成分を届けるという方法です。
発毛クリニックでは注射を使ったメソセラピー、発毛サロンではエレクトロポレーションといった方法があります。
基本的に効果は同じですが、直接注射する分浸透率は高いです。その変わり価格も高いので、一長一短ですね。
さいごに|毛根幹細胞と毛包幹細胞の違いはない!
今回は、毛根幹細胞と毛包幹細胞との違いについて解説してきました。
毛根幹細胞と毛包幹細胞は呼び方に違いがあるだけで、中身はまったく同じもの。
呼び方がどちらだったとしても、髪の毛に重要であるという点に違いはありません。
こうした幹細胞は年齢などの影響で休止してしまうことが多いですが、近年では人工的に幹細胞を作る技術が発達して治療に用いることができるようになってきました。
発毛のために、毛根幹細胞・毛包幹細胞を活性化させるということも、今後の発毛対策の選択肢の1つとして取り入れてみてはいかがでしょうか。