PGD2が薄毛の原因?AGAとの関係や予防方法についても紹介!
薄毛の一種に「AGA(男性型脱毛症)」がありますが、その主な原因として考えられるのが「DHT(ジヒドロテストステロン)」という悪玉ホルモンです。
実際に、AGAの治療にはこのDHTの生成を抑制させることで効果が認められています。
ただ、近年ではAGAの原因がDHTだけでなく、PGD2にもあるのではないかとされています。
この記事では、このPGD2とAGAによる薄毛の関係と予防方法について解説します。
AGAの原因
AGAについては、いくつかの原因が考えられています。
ここでは、AGAになる原因について解説します。
遺伝的要因
AGAは遺伝的要因で発症するケースが多く存在します。
この遺伝的要因は解決できないため、治療などではどうすることもできません。
そのため、家族に薄毛の人がいる場合は、自分も薄毛になる可能性があることは否定できません。
男性ホルモン(ジヒドロテストステロン)
男性ホルモンもAGA(男性型脱毛症)に影響がある要素です。
髪の毛の育成に重要な毛乳頭細胞が、DHT(ジヒドロテストステロン)に攻撃されるとダメージを受けてしまいます。
毛乳頭細胞がダメージを受けてしまうと、細胞を増やすことができなくなり、髪を生成する力がなくなり、新しい髪が生えてこなくなってしまいます。
そのため、男性ホルモンの影響が強い方は、薄毛になる可能性が高いとされています。
毛包の縮小化
毛乳頭細胞がダメージを受けてしまい、新たに髪が作れなくなると、髪を作るために活動していた毛包が縮小してしまいます。
これは、人体が使用しないと判断したため、退化してしまうのです。
一度毛包が縮小してしまうと、頭皮からは髪が生えてこなくなります。
この状態になってしまうと、育毛では髪を増やすことができず、植毛するしかなくなってしまいます。
PGD2
近年の研究によって注目されているのが、このPGD2です。
PGD2がAGAの発症に関係があるのでは、と考えられています。
実際、動物実験によるとPGD2を抑制することで発毛効果が増加したという研究結果があります。
現在はまだ確定していませんが、今後の研究結果に期待できるでしょう。
PGD2とは?
PGD2とは、プロスタグランジンD2という酵素の略称のことです。
このプロスタグランジンとは、人体に備わっている炎症反応を調整する役割がある物質とされています。
炎症反応とは人体に備わっている生体防御機構のことで、体内に侵入した細菌やウィルスなどを排除したり、傷ついた組織を回復するという働きのことです。
この炎症反応は人体にとっては重要な機能ですが、この炎症反応は過剰に働きすぎると人体に害を及ぼしてしまいます。
過剰な炎症反応により人体を傷つけたり、ガンや自己免疫疾患の発症の原因になるリスクもあります。
この炎症反応をバランス良く整える役割があるのが、プロスタグランジンです。
PGD2には炎症反応を抑える働きがあり、その作用は強力です。
PGD2はさまざまな研究が行われていて、動物実験によって以下のような効果が判明しています。
・ガンの増殖を抑える
・組織の炎症や発がんを抑制する
・食物アレルギーの症状を抑制する
このことから、PGD2は人体にとって重要な役割がある酵素と言えるでしょう。
PGD2と薄毛の関係
従来までは、AGA(男性型脱毛症)の原因はDHT(ジヒドロテストステロン)という男性ホルモンとされていました。
そのため、AGA治療薬として用いられているプロペシアやザガーロは、このDHTの生成を抑制するための薬です。
ただ、最新の研究によると、AGAの原因にはDHTだけでなくPGD2も関係しているのでは、と考えられています。
このPGD2とAGAの関係性を突き止めたのは、アメリカのペンシルベニア大学の研究チームです。
アメリカにおいては、男性の40%以上が18〜49歳にAGAを発症しているというデータがあります。
ペンシルベニア大学の研究チームの調査結果によると、AGAを発症した男性の血液を調べると、PGD2の血中濃度が高いことが判明しています。
また、マウスを用いた実験結果によると、PGD2受容体を阻害した結果として、マウスの体毛が成長し続けることも確認されました。
このような研究結果から、PGD2はAGAと関係があると考えられています。
ただし、このPGD2については現在はまだ研究段階であり、PGD2がAGAの原因と確定していません。
PGD2を抑制することで薄毛が改善できるかどうかについては、今後の研究が期待されます。
PGD2の予防は可能なのか?
先程説明しましたが、まずPGD2についてはAGAの発症に関係しているかどうかは判明していません。
ただ、PGD2がAGAの原因と関係があるとすれば、PGD2を抑制できればAGAの問題も解消できると考えられています。
このPGD2を抑制するために現在注目されているのが「セチピプラント」という薬です。
セチピプラントは、PGD2を抑制する作用がある喘息の治療薬です。
現在では、2016年からアメリカでセチピプラントをAGAの患者に投与する臨床試験が開始していて、この結果によってはセチピプラントは新たなAGA治療薬になるかもしれません。
ただし、現在ではPGD2を抑制するための薬はAGA治療薬としては認可されていません。
また、PGD2は生命活動にとって重要な役割がある酵素であるため、PGD2を抑制することには一定のリスクがあります。本来は別の疾患のための治療薬である上、副作用も存在します。
そのため、現時点においてAGA治療のためにPGD2を抑制する薬を摂取することはおすすめできません。
PGD2に関係するAGAの治療法としては、「ヒト胎盤抽出物質」を活用する方法が検討されています。
現在では、薄毛の治療薬として有名な発毛剤である「ミノキシジル」に、ヒトプラセンタを配合した医療用外用薬を活用するといった動きもあります。
このヒトプラセンタとは、人間の胎盤から得ることができる生理活性物質の一種で、細胞の組織呼吸や新陳代謝を高め、細胞の機能を活性化させるといった作用があります。
このヒトプラセンタについては、聖マリアンナ医科大学幹細胞再生医学寄附講座によると、「ヒト胎盤抽出物質は、発毛に関わるPGE2(プロスタグランジンE2)の生成を促進し、脱毛を促進するPGD2の生成を抑えることができた」と発表されました。
このことから、ヒト胎盤抽出物質は薄毛の治療に効果があるかもしれません。
ただし、どちらのケースについても現在研究中の内容であり、確定しているわけではありません。
いずれも今後の研究結果が期待されます。
薄毛が気になる方は早めの治療がおすすめ
ここまで、PGD2とAGAの関係性について解説しました。
PGD2の抑制によるAGAの治療については、これまでの研究結果から今後に期待できるということが分かっています。
ただ、現時点では判明していない部分も多く、治療薬についても認められていません。
また、今後の研究によってはAGAには効果がないという結果が出るかもしれません。
他にも、AGAは進行性がある脱毛症であるため、PGD2の抑制では回復できない程度に進行してしまうことも考えられます。
もし、現在薄毛で悩んでいる場合は、PGD2の研究結果を待つよりも、従来のAGA治療薬を使った治療を行うようにしましょう。
AGAによる薄毛を改善するためには、早期の治療が有効的です。
実際、現在用いられているAGA治療薬は、薄毛の効果があるという実例が多く存在しています。
そのため、できるだけ早い段階でAGA治療薬による治療を始めるようにしましょう。
AGA治療薬は処方箋医薬品であるため、AGA治療を行なっている病院などで処方してもらうことができます。