薄毛の原因「糖化」とは?AGEsで毛細血管がボロボロになる!
髪の毛に悪影響を与える生理現象に糖化があります。
体内で糖化が起きると頭皮環境が悪くなるといわれていますが、具体的にはどのようなメカニズムで脱毛が起きるのか分からない方もいることでしょう。
そもそも、糖化とは何なのでしょうか。
また、近年の研究で、体内のAGEsが頭皮の毛細血管を老化させて薄毛にさせることが判明しました。
本記事では、薄毛 / 糖化 / AGEsの関係性をテーマに解説しています。
糖化とは?
糖化(糖化反応)とは、糖の分子が酵素の働きなしにタンパク質・脂質と結合することで起きる化学反応のこと。
例えば、砂糖をタンパク質や脂質の多い食品とともに調理すると表面が焦げやすくなりますが、それが糖化反応です。
糖化は生体内でも起こることがあります。
ヒトの体内で糖化が起きると、体内のタンパク質が変性、劣化してAGEs(終末糖化産物)と呼ばれる老化物質が生成されます。
AGEsとは?
AGEsとは「Advanced Glycation End Products」の略。日本語に訳すと「終末糖化産物」です。
その名のとおり、糖化(反応)によってつくられる生成物です。
そもそも、糖化とはタンパク質と糖質が結びつくこと。
ヒトの体内では、食事などから摂った余分な糖質が体内のタンパク質などと結びついて、体内で加熱されて発生します。
その糖化によって最終的につくられる生成部であり、AGEsになると元に戻ることはありません。
薄毛とAGEsとの関係性は?
AGEsが髪の毛に影響を与えてしまう理由は、毛細血管や毛乳頭細胞を老化させてしまうため。
糖化によって体内につくられたAGEsは、体内のタンパク質を変性・劣化させます。
このタンパク質の変性・劣化で起きる現象が老化です。
例えば、老化によって肌は弾力を失われるのは、肌のハリを保つコラーゲン繊維が変性・劣化したためです。
また、AGEsが蓄積されたことで肌細胞に炎症物質が発生し、シミやくすみができます。
さらに、血管が老化によって固くなり、動脈硬化となるリスクが高まり、心筋梗塞や脳梗塞などの病気の原因物質だともいわれています。
コラーゲン繊維が老化すると肌の弾力が失われてしまいますが、頭皮の弾力が失われて固くなると、頭皮の硬化で育毛しにくい状態になってしまいます。
毛母細胞に栄養を運ぶ血液が届きにくくなることや、その毛母細胞へ成長シグナルを送り出す毛乳頭細胞にAGEsが蓄積されると、細胞分裂しにくくなり薄毛になるのです。
糖化が起きる原因は?
体内で糖化が起きる原因は、炭水化物(糖質)を取りすぎることに起因します。
とはいえ、糖は生命を維持するためのエネルギー源で、エネルギーが少なければ髪の毛の成長にも影響するでしょう。
通常、食べ物から体内に取り込んだ糖類や炭水化物から、エネルギー源となるブドウ糖が作られます。
しかし、取り込めなかったブドウ糖は、インスリンの働きによって肝臓でグリコーゲンに、脂肪細胞では脂肪に変換されて蓄えられます。
ちなみに、体内に取り入れた糖類や炭水化物が多すぎると、グリコーゲンや脂肪に変性しきれなかったブトウ糖が残ります。それが体内のタンパク質や脂肪と結合して糖化を起こしてしまうのです。
糖化による脱毛のメカニズム
脱毛が起きる原因はさまざまですが、その1つに老化現象があります。そして、糖化による脱毛のメカニズムは次のとおり。
- AGEsによって血管や毛乳頭細胞が老化
- 毛乳頭細胞の成長阻害
- 薄毛になる
発毛は毛乳頭細胞の成長によって起こりますが、その毛乳頭細胞が老化で成長しにくくなると髪が抜けやすくなります。
また毛細血管も老朽化すると薄毛になりやすいです。
カラダの細胞や血管を老化させるAGEsは加齢にともない体内に蓄積していきますが、糖化によってさらに増加します。
AGEsが老化を進める理由は、AGEsがタンパク質を褐色反応させるため。
褐色反応はメイラード反応とも呼ばれており、還元糖とアミノ化合物(アミノ酸、ペプチドおよびタンパク質)を加熱したときなどに見られます。
ヒトでは、「アミノ化合物=コラーゲンなど」の体内のタンパク質が、還元糖(=過食などでの余った糖質)と熱(=血糖値上昇による急激な体温上昇)による褐色反応によって焦げつき、老化が起こります。
つまり、糖化によって脱毛が起きるメカニズムは、毛細血管や毛乳頭細胞などの髪の毛に関わる細胞を老化させるAGEsが増えるからです。
糖化を抑えて薄毛予防!改善方法を紹介
ここでは、育毛発毛のために糖化を抑える方法を紹介します。おすすめの改善方法は、下記の3つ。
それでは、詳しくみていきましょう。
余分な糖質を蓄積させない
糖化はエネルギー源となるブドウ糖が余ることで起きるため、取り込む糖の量を減らすことで糖化が防げます。
過食や甘い食べ物、炭水化物などの摂り過ぎによって、体内に余分な糖質を蓄積させないようにしましょう。
糖質は生命を維持するためのエネルギー源です。
エネルギー量が少ないと育毛にも影響が出てしまうため、糖質をまったく食べないようにすることはAGEsによる薄毛対策にはなりません。
糖化を起こすのは、余分な糖質ですので、生命を維持するためのエネルギー源として必要な分だけ摂取すればよいのです。
日本人では一日当たり炭水化物の摂取量は320gが良いと「日本人の食事摂取基準(2015 年版)の概要」では紹介されております。
血糖値を上げないこと
血糖値を急激に上げない方法としておすすめの対策は、ゆっくり食事を摂ること。
早食いをすると、糖質が一気に消化吸収されてしまうため、血糖値が急上昇します。
また、炭水化物を食べる前に野菜やタンパク質を含む食品を食べるのも血糖値を急激に上げない方法です。
ほか、GI値(グリセミックインデックス;血糖の上昇スピードの指標)の低い食品を食べるようにすることも、AGEsによる薄毛対策になるでしょう。
グリセミック指数 (glycemic index) とは、食品ごとの血糖値の上昇度合いを間接的に表現する数値である。1981年にデヴィッドJ.ジェンキンズ博士らが、食品による血糖値の上がり方の違いを発見し提唱した[1]。グリセミック・インデックスまたはGI値とも表現される。後に、炭水化物の量も考慮したグリセミック負荷が考案されている。
引用:ウィキペディア(Wikipedia)
例えば、炭水化物でも白米や食パン、フランスパンはGI値が高い食品ですが、白米と比べ玄米の方がGI値は低いですし、パンでもライ麦パンは低GI食品です。
糖の消費量を増やす
体内に使われなかったブトウ糖が多いと糖化が起きるため、糖の消費量を増やすことも予防に繋がります。
糖は筋肉を使うと消費されるため、筋トレをして筋肉量を増やすと、糖の消費量が増えます。
また、ウォーキングなどの軽めの有酸素運動も糖の消費に効果的といえるでしょう。
ちなみに、食後に有酸素運動を行うと血糖値の上昇も防げるため、糖化の防止効果が期待できます。しかも軽めの有酸素運動は、発汗や代謝の促進による効果も得られるためおすすめです。
育毛にはGI値が低い食べ物が良い!GI値の一覧をご紹介!
GI値の数値(高い順) | 食品名の一覧 |
100 | ブドウ糖 |
93 | フランスパン |
91 | 食パン |
85 | 餅 |
85 | うどん |
84 | 白米 |
75 | コーンフレーク |
68 | そうめん |
65 | パスタ |
65 | パイナップル |
60 | スイカ |
58 | ライ麦パン |
56 | 全粒粉パン |
55 | 玄米 |
55 | バナナ |
54 | 発芽玄米 |
45 | オールブラウン |
44 | リンゴ |
35 | キウイフルーツ |
33 | みかん |
21 | 梨 |
上記が簡易的なGI値の一覧です。
ちなみにGI値は
- 高い(70以上)
- 普通(56~69)
- 低い(55以下)
と言われています。
詳しく見たい方は「低インシュリンダイエット」のページよりご覧ください。かなり詳しく載っています。
基本的に言えるのはでんぷん系の食品は高いという事です。
完全にイコールになる訳ではありませんが「GI値が高い=糖質が高い」と考えたら分かりやすいです。
肉や野菜は基本糖質が少ないですし、多少の糖分も入っているので糖分が少なくて体調不良になる事も無いでしょう。
実際に経験した身からすれば、糖質の量を1日100gぐらいが髪の毛も生えるし、ダイエットにも効果があるのでおすすめです。
さいごに|糖化は髪の毛の天敵!頭皮環境を改善しよう!
糖化は髪の毛の天敵です。
糖化の状態が長引くほど髪や頭皮の状態は悪くなります。
また、せっかく老化による脱毛が改善しても再び育毛を促すことは難しいため、糖化したらすぐ改善させる必要があります。
最後に、本記事の内容をまとめます。
- 糖化とは、糖の分子がタンパク質・脂質と結合することで起きる化学反応のこと
- 体内で糖化が起きる原因は、食事などによって糖の過剰摂取
- 糖化のメカニズムは、毛乳頭細胞の老化によってAGEsが体内に蓄積することに起因する
- 糖化を抑える方法は「取り込む糖の量を減らす」「糖の消費量を増やす」
- 糖化の状態が長引くほど髪の毛に悪影響を及ぼす
また、糖化によって体内の組織が影響を受け、脈硬化や白内障・アルツハイマーなどのさまざまな病気に起因する可能性もあります。
いち早く糖化を予防して、頭皮環境を改善させましょう。