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「スピード小顔」の倒産と悪質な業者の実態【美容業界の光と影】

「スピード小顔」の倒産と悪質な業者の実態【美容業界の光と影】

近年、美容業界では「小顔矯正」という施術が注目を集め、多くのサロンがこの分野に参入してきました。

 

その中でも、「スピード小顔」は、全国的に知られる人気サロンとして一世を風靡しました。

 

しかし、2022年、運営会社である株式会社KOGAO(代表取締役:兼國治郎氏)が破産を申請するという事態に陥り、多くの利用者や業界関係者に衝撃を与えたのです。

 

このコラムでは、「スピード小顔」の倒産の背景や、業界全体に潜む問題点について考察していきます。

 

 

メディア注目の「スピード小顔」とその急成長

 

スピード小顔」は、小顔を目指す施術を提供するサロンとして、多くの女性から支持を集めました。

 

その広告はテレビ番組や人気雑誌でも広く取り上げられ、若年層の女性を中心に話題となりました。

 

設立から数年で全国に18店舗を展開し、業界内でも注目される存在だったのです。

 

運営会社の株式会社KOGAOは、サロン事業だけでなく、美容スクール「日本美容整骨学院」も展開しており、教育分野にも積極的に参入していました。

 

このような積極的な事業展開により、短期間で知名度を上げることに成功しました。

 

 

 

倒産に至った背景

「スピード小顔」の経営が行き詰まった要因は複数あります。

 

まず、積極的な事業拡大による借入金が資金繰りを圧迫していました。

 

そのうえ、2020年以降の新型コロナウイルス感染拡大の影響で、多くの美容サロンと同様に来店客数が大幅に減少しました。

 

感染拡大の長期化による営業制限が重なり、売上が激減。経営再建を試みたものの、結果として負債総額約6.7億円を抱えるに至り、破産申請を余儀なくされたのです。

 

2022年9月2日にはついに破産手続きの開始決定となってしまいます。

 

18店舗のうち7店舗を他社に譲渡。譲渡した7店舗については別会社により引き続き営業されています。

 

 

 

コロナが原因とされる破産の実態

株式会社KOGAOの破産は新型コロナウイルスの影響によるものとされていますが、それだけで片付けられる問題ではない可能性もあります。

 

当時の従業員の情報によると、同社の経営基盤には大きな問題が潜んでいたと言います。

 

具体的には、目新しいキャンペーンを頻繁に打ち出し、大規模な広告費を投じて新規顧客を獲得。

 

施術スタッフには巧妙なセールストークを訓練し、高額なショッピングローン契約を獲得するという経営スタイルが取られていました。

 

このような経営方針は、新規顧客の獲得を優先する一方で、既存顧客の満足度やリピーターの確保を軽視するものだったとされます。

 

さらに、大型商業施設に出店し高額な家賃を負担しつつ、インフルエンサーや芸能人を起用した宣伝活動に巨額の費用を投入するという「自転車操業」の状態だったと言われています。

 

 

 

ショッピングローンが急成長を支えた仕組み

小顔ビジネスの急成長の裏には、高額なショッピングローン契約の存在がありました。

 

集客した顧客に対し、カウンセリングや施術の場でショッピングローンを契約させる仕組みが業績を支えていたのです。

 

顧客の支払いがローンに依存していたことは、経営の不安定さをさらに助長していました。

 

このビジネスモデルは、急成長の原動力であると同時に、破綻を引き起こした主要因とも言えるでしょう。

 

 

消費者を惑わす誇大広告とその実態

 

「スピード小顔」の倒産とともに浮き彫りになったのが、業界全体における誇大広告の問題です。

 

SNSでは「数十万円を支払ったが効果がなかった」「しつこい勧誘に騙された」といった被害者の声が後を絶ちません。

 

また、ある整体業者は「小顔矯正を謳う業者の多くは、科学的根拠が乏しい」と指摘しています。

 

特に、頭蓋骨を矯正して顔を小さくするといった施術内容には、合理的な根拠がないとする専門家の声も多く、消費者庁も措置命令を出すなど対応を始めています。

 

しかし、こうした監視体制が整う以前から、多くの消費者が被害を受けてきたことも事実です。

 

 

業界の課題と消費者の自衛策

 

「スピード小顔」の倒産は、誇大広告や過剰な拡大路線が引き起こした経営破綻と見ることができます。

 

同時に、消費者の「美」に対する需要の高さを逆手に取る悪質業者の存在も、業界の信頼を揺るがす大きな要因となっています。

 

消費者としては、広告や口コミに惑わされることなく、以下のポイントを押さえて選択することが重要です。

 

  • 施術の科学的根拠を確認: 施術内容に明確な根拠があるかを事前に調べる。
  • 第三者機関の評価を確認: 消費者庁や公的機関の注意喚起に目を向ける。
  • 契約前に慎重な判断を: 高額な施術費用を伴う場合、複数のサロンを比較検討する。

 

 

増加するエステサロン倒産に関する相談

 

近年、エステサロンの倒産を巡るトラブルについて、国民生活センターに寄せられる相談が増えています。

 

その中でも「通っていたサロンが倒産し、施術が未消化なのに支払いを求められる」という問題が多く見受けられます。

 

 

 

倒産時の返金対応と破産管財人の役割

サロンが倒産し破産手続きが始まると、事業者の財産は破産管財人(弁護士)の管理下に置かれます。

 

このため、倒産後に事業者と直接交渉を行うことはできません。破産管財人から通知や案内が届くのを待ち、それに従う必要があります。

 

 

 

クレジット支払い利用者が取るべき行動

クレジットカードで施術費用を支払っている場合は、カード会社への問い合わせが重要です。

 

分割払い中で施術回数が残っている場合、カード会社に支払い停止を求める「抗弁」を主張できる可能性があります。

 

この場合、抗弁書を作成して提出することが一般的な手続きです。

 

 

 

抗弁の限界と返金への注意点

抗弁権を行使することで、未提供の施術分に対する支払いを停止することは可能ですが、既に支払った金額の返金を直接的に請求するものではありません。

 

また、抗弁が認められるかどうかはカード会社の判断に委ねられるため、すべてのケースで適用できるわけではありません。

 

さらに、返金対応については、破産手続きの中で破産管財人が消費者に返金を行う可能性がありますが、倒産したサロンの財産状況によっては、全額が返金されないこともあります。

 

 

 

困ったときは専門機関に相談

エステサロンの倒産問題に直面した場合、早急に消費生活センターや弁護士に相談することをおすすめします。

 

特に、自分の権利や手続き方法が不明な場合、専門家のアドバイスを受けることで、より適切な対処法を見つけることができるでしょう。

 

また、相談先としては、地方自治体が設置する消費生活センターのほか、国民生活センターが提供する窓口や、法テラス(日本司法支援センター)などが挙げられます。

 

これらの機関では、消費者が抱える問題に対する具体的な解決策を提示し、必要に応じて法律専門家への紹介を行うこともあります。

 

 

まとめ

 

「スピード小顔」の倒産劇は、美容業界における誇大広告や経営リスクを浮き彫りにしました。

 

事業拡大を優先し、高額ローン契約や誇大広告に依存した経営が、コロナ禍による打撃で崩壊したことが今回の破産の背景にあります。

 

利用者は美容サービスを選ぶ際に、情報の真偽を見極め、慎重に判断する必要があります。

 

広告や口コミに惑わされることなく、契約内容や施術の根拠をしっかり確認し、自衛策を講じることが重要です。

 

業界全体としても、消費者の信頼を取り戻すため、透明性のある経営と施術内容の提供が求められるでしょう。

 

 

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