肌に現れる赤い斑点の原因は?老人性血管腫の解説と治療法をご紹介
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「ふと鏡を見たら、肌に鮮やかな赤い斑点がぽつりぽつりと現れていた」 「これ、何かの病気のサインじゃないかしら…」 「早急に対処すべきなのかな?」
突然、肌に赤い斑点のようなできものが出始めて、不安に駆られることはありませんか?
特に、顔や首、腕など目に付きやすい場所に現れると、他人の視線が気になってしまうものです。
本コラムでは、一般的に老人性血管腫と呼ばれるこれらの赤い斑点について、その原因や治療方法を詳しく解説していきます。
肌に現れる赤い斑点の特徴
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加齢により血管が異常に増殖する現象である老人性血管腫が起こると、肌に目立つ赤い斑点のような小さな血管の塊が現れることがあります。
これらは紫外線などの外的要因とは無関係に、誰にでも見られる自然な変化で、20代など早い段階から現れる場合もあり、加齢が進むにつれてその数が増加する傾向にあります。
初めは平坦な状態で、まるで小さなボールペンで押されたかのような印象ですが、次第に隆起し、サイズは数ミリメートルにまで成長することも。
首、胸、腕、背中など、様々な部位に散在し、シミと併存しているケースもよく見受けられます。
老人性血管腫がなぜできる
老人性血管腫がなぜできるのか、明確な答えはまだ得られていません。
しかし、発症パターンからいくつかの要因が影響していると考えられています。
老人性血管腫の原因
原因 | 説明 |
---|---|
加齢 | 年齢を重ねることで血管の変化や増殖が生じやすくなる |
紫外線 | 日光の紫外線が皮膚の血管に影響を及ぼす |
摩擦 | 衣服などによる持続的な摩擦が皮膚を刺激 |
遺伝 | 遺伝的素因が発症リスクに影響 |
生活習慣の乱れ | 不規則な生活や不健康な習慣が血管の状態に影響を与える |
ホルモンバランスの乱れ | ホルモンの変動が血管の反応に影響を及ぼす |
最も注目されるのは加齢です。
年齢を重ねるとともに血管が変化しやすくなりますが、若い世代でも発症することがあるため、遺伝的な素因や生活習慣の乱れ、ホルモンバランスの変動も関与している可能性があります。
また、日光にさらされやすい、または肌が白い人々に多く見られることから、紫外線の影響も一因として考えられています。
さらに、太陽光が直接当たりにくい背中や腹部で発生する例があることから、衣服などによる摩擦が起こりやすい環境も関係しているかもしれません。
症状がなければ放置しても良い
「老人性血管腫が気になるけれど、これは何か悪い病気なのでしょうか?」「そのままにしておいても大丈夫なのかしら?」と心配される方もいらっしゃるかもしれません。
まず、老人性血管腫自体は健康に深刻な影響を及ぼすものではなく、特に症状がなければ放置して問題はありません。
ただし、斑点が濃い赤や黒に変化したり、痛みやかゆみなどの異常な症状が伴う場合は、まれに悪性の腫瘍の可能性も考えられるため、自己判断せずに速やかに医療機関を受診することが大切です。
赤い斑点は自然には消えない
赤い斑点の存在は、一部の方に不安を与えるかもしれませんが、これらは良性の現象であり、健康に大きな問題を引き起こすものではありません。
しかし、自然には消失しないため、見た目の改善を希望する場合には、レーザーを用いた治療があります。
唇など特殊部位に現れるケースも
老人性血管腫は、唇などに現れる場合もあります。
特殊な部位に現れる際はやや青みがかった深い赤色の血管の塊です。
これらはまるで血豆のように見えるため、外傷ではないのに治りにくいことから、「何の病気だろう」と疑問を持って皮膚科などを受診される方も少なくありません。
このような場合も、レーザー治療によるアプローチが有効とされています。
老人性血管腫の治療法
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老人性血管腫の改善には、主に下記の5つのアプローチが存在します。
- 炭酸ガスレーザー治療
- 色素レーザー治療
- フォトフェイシャル(光治療)
- 外科的切除
- 凍結療法
炭酸ガスレーザー治療
炭酸ガスレーザーは、放出された炭酸ガスの力で皮膚の水分を急速に蒸発させ、不要な血管腫部分を除去する方法です。
施術中は出血が少なく、レーザー照射自体はわずか15~30秒程度で完了する点が大きな特徴となっています。
料金例と保証
たとえば、ある皮膚科では、以下のような料金設定がなされています。
- 直径5mm以内:7,700円
- 直径6mm~1cm:11,000円
1cmを超える場合は、5mmごとに5,500円が追加。
施術回数と注意点
通常は1回の施術で完結しますが、稀に再発が認められた際は再度焼灼処置が行われることがあります。
病変の位置や状態により、場合によっては手術療法へ切り替えることも考えられます。
副作用・リスク
治療後、一時的に赤みや腫れ、むくみ、出血が見られることがあり、これらは概ね1~2週間以内に自然に収まる傾向があります。
一方で、治療を受けた部分に軽度のくぼみが生じたり、色素沈着が残る場合もありますが、これらの症状は目立たなくなるまでに2~3ヵ月程度かかることがあるため、しばらくの経過観察が必要です。
色素レーザー治療
色素レーザーは、特定の赤色に反応する波長のレーザーを用い、異常な血管部分だけを選択的に破壊する治療法です。
正常な血管組織には影響を与えず、狙った部分のみアプローチできます。
施術回数の目安
ほとんどの場合、1回の治療で十分な効果が得られますが、効果が不十分な場合は複数回の施術が必要になることもあります。
副作用・リスク
施術中は、弾かれるような痛みを感じることがあります。
また、施術後は約2日間、ヒリヒリとした感覚が続く場合も。
さらに、施術後には赤みや腫れ、内出血、そして色素沈着が現れることがあり、特に内出血や紫斑は通常1~2週間で次第に改善する傾向があります。
フォトフェイシャル(光治療)
フォトフェイシャルは、シミやそばかすなど多様な肌トラブルに対応するため、肌に優しい光エネルギーを用いる治療法です。
レーザーと比べると肌への負担が軽いため、治療当日から化粧が可能な点が魅力です。
ただし、効果を実感するためには複数回の施術が求められます。
施術回数の目安
3~4週間に1回のペースで、赤みを伴う血管腫の場合は最低でも5~6回の施術が推奨されます。
また、老人性血管腫のみならず、シミ、くすみ、赤ら顔、小じわなど複数の肌悩みに同時に対応できる点も特長です。
副作用・リスク
軽い痛みやむくみ、腫れ、内出血、そして赤みといった反応が見られることがあります。
これらの症状は多くの場合、数時間から数日で自然に収まる傾向がありますが、稀に水ぶくれや火傷のような症状が現れることもあります。
そのような場合には、速やかに医療機関を受診してください。
外科的切除
外科的切除は、メスやパンチを用いて直接血管腫を除去する方法です。
特に直径5mm以下の病変については、パンチ切除が確実かつ美しい仕上がりを期待できる手法として有効です。
また、血管腫と同時に他の病変が疑われる場合にも、切除術が選択されることがあります。
施術回数の目安
通常、切除は1回の施術で完結し、日帰りで行えるケースがほとんどです。
ただし、抜糸のために再度受診する必要がある点にはご留意ください。
副作用・リスク
縫合後に細い傷跡が残ります。時間の経過とともに目立たなくなりますが、完全には消失しません。
ケロイド体質の場合、傷跡が盛り上がるリスクもありますので、事前の相談が重要です。
凍結療法
凍結療法は、液体窒素を用いて患部を急速に冷却し、火傷状態を作り出すことで異常な血管を破壊し、新たな皮膚再生を促す治療法です。
簡便な治療法とされる一方で、施術時には激しい痛みが伴うことが特徴です。
施術回数の目安
血管腫が完全に消失するまで、複数回にわたる治療が必要となる場合があります。
治療回数は、病変の大きさや個々の体質に左右されますが、通常は数回で十分な効果が得られることが多いです。
なお、大きな病変には適応が難しい場合があるため、他の治療法との併用が検討されることもあります。
副作用・リスク
強い痛みを感じることが報告されています。
また、施術部位には瘢痕が残る可能性があり、これは後の見た目にも影響を与えることがあります。
さらに、感染症のリスクが伴うため、治療後のケアや注意が重要です。
加えて、色素沈着が発生する場合もあり、これにより肌の色ムラが生じる可能性があります。
まとめ
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老人性血管腫は、最初は平らな赤い斑点として現れ、だんだん盛り上がって数ミリメートルになることもあります。
健康に悪影響は少なく、症状がなければそのままでも大丈夫ですが、自然には消えないため、見た目が気になる場合はレーザー治療や外科手術、凍結療法などで改善することが可能です。