ニキビの炎症が悪化すると、肌にクレーター状の跡が残ってしまうことがあります。

 

これは真皮層が損傷し、自然なターンオーバーでは修復が難しくなるためです。

 

しかし、適切なケアを行えば、クレーター肌の悪化を防ぎ、目立ちにくくすることが可能です。

 

このコラムでは、肌のクレーターができる原因から、自力で改善するためのセルフケア、さらには美容皮膚科で受けられる専門的な治療法まで詳しく解説します。

 

 

クレーター状のニキビ跡とは？

 

ニキビによる炎症が深部にまで広がり、肌の組織が損傷した結果としてできる凹みのことを指します。

 

特に炎症が悪化し化膿すると、毛穴周辺の組織が破壊され、肌を内側から支えられなくなるため、クレーター状の跡が残りやすくなります。

 

 

 

クレーターができやすいニキビの発生ゾーン

クレーター状のニキビ跡は、炎症が悪化した結果として残るため、ニキビができやすい部位では特に発生しやすいです。

 

ニキビができやすい部位としては、おでこや眉間、こめかみなどのTゾーン、口周りやアゴ、フェイスラインが挙げられます。

 

特にアゴやフェイスラインは、食事中の汚れや髪の毛による刺激を受けやすく、炎症が悪化しやすい傾向があります。

 

また、頬のニキビがクレーターになると目立ちやすいため、できるだけ重症化を防ぐことが大切です。

 

クレーターを防ぐためには、まずニキビができにくい肌環境を整え、できてしまった場合でも悪化させないよう適切なケアを心がけることが重要です。

 

思春期は皮脂の分泌が活発なTゾーンや頬にニキビができやすく、大人になると乾燥が原因で発生することもあるため、年齢や肌質に応じた対策が必要になります。

 

 

肌のクレーターができる原因

 

肌表面の凹凸が目立つ「クレーター肌」は、化粧で完全に隠すことが難しく、知らぬ間に悪化してしまう場合もあります。

 

以下に、なぜ肌にこうした凹みが生じるのか、その主なメカニズムを整理してみました。

 

自分の肌状態がどのパターンに近いのか、参考にしてください。

 

 

 

ニキビの炎症と不適切なケア

ニキビは、毛穴に常在する菌の増殖や皮脂の過剰分泌が原因で発生します。

 

通常、正しいスキンケアで治療すれば跡を残さずに改善する可能性が高いです。

 

しかし、刺激的に潰し、何の対策も施さず放置すると、炎症が深部に広がり、肌細胞が破壊されることで凹みが生じやすくなります。

 

 

 

乾燥状態と紫外線の影響

私たちの肌は日々、紫外線や摩擦といった外的刺激にさらされています。

 

しっかりと保湿され、コラーゲンやエラスチンなどの土台が整っていれば、これらのダメージにも強くなります。

 

しかし、乾燥状態が続くと肌のバリア機能が低下し、普段なら問題にならない刺激が大きなダメージに。

 

表皮のみならず真皮にも影響を及ぼして、結果として肌組織の再生が阻害され、クレーターの原因となることがあります。

 

 

 

肌のターンオーバーの乱れ

肌は新しい細胞が生まれ、古い角質が自然に剥がれ落ちるターンオーバーにより、常に健康な状態を保っています。

 

若い頃は比較的短いサイクルで細胞が入れ替わりますが、年齢と共にこの周期は長くなるため、古い角質が肌に残りやすくなります。

 

また、睡眠不足やストレスなどの生活習慣の乱れも、細胞の生まれ変わりに悪影響を与え、肌トラブルを引き起こしやすくなるでしょう。

 

 

ニキビ跡の種類

 

ニキビ跡は、クレーター状の跡だけでなく、さまざまなタイプが存在し、それぞれ原因や現れ方が異なります。

 

以下は、代表的なニキビ跡の種類とその特徴、原因をまとめた表です。

 

適切な治療を受けるためには、セルフケアだけではなく、クリニックでの診断・治療を受けることが望ましいでしょう。

 

 

このように、各ニキビ跡には特徴的な原因と現れ方があるため、自分の症状に合った治療法を選ぶためにも、専門家に相談することが重要です。

 

 

クレーター状のニキビ跡はターンオーバーで修復されない

 

ニキビの炎症が進行すると、真皮層にあるコラーゲン繊維や皮膚組織が破壊され、クレーター状の跡が残ることがあります。

 

真皮層は血管や神経、リンパ管が通る重要な部分ですが、一度損傷を受けると再生が難しくなります。

 

表皮とは異なり、真皮層は新陳代謝による再生がほとんど行われません。

 

そのため、ターンオーバーの働きでは修復されず、時間が経っても凹みが残ってしまうのです。

 

 

 

ニキビ跡の種類によっては自力での改善も可能

ニキビ跡の治りやすさは、その種類によって異なります。

 

生活習慣を見直したり、市販薬を使用したりすることで、自宅でのケアが有効なケースもあります。

 

特に赤みや色素沈着を伴うニキビ跡は、時間の経過とともに薄くなることが多いです。

 

 

 

肌を悪化させる可能性がある危険なケア

肌を悪化させる可能性がある危険なケアは以下の５つです。

 

• 市販のピーリング剤を頻繁に使用する
• 強くマッサージして肌に刺激を与える
• スクラブ入りの洗顔料を使う
• 熱めのお湯で顔を洗う
• 必要以上に何度も洗顔する

 

これらの行為は、肌に過度な負担をかけ、炎症を引き起こすリスクがあります。

 

特にクレーター跡がある部分はデリケートなため、できるだけ刺激を抑えたケアを心がけましょう。

 

 

ニキビのクレーター跡は自由診療による治療が効果的

 

ニキビのクレーター跡に対しては、自由診療による治療が効果的です。

 

ニキビ跡の治療は保険診療の対象外となっており、一般の皮膚科は主に現在発症しているニキビの治療を目的としています。

 

したがって、ニキビ跡の改善を目指すなら、保険適用外の【美容皮膚科】での自由診療を受けることをおすすめします。

 

美容皮膚科では、再発を防ぐ対策から、既存のニキビ跡に対する多様な治療法が提供されていますよ。

 

 

ニキビのクレーター跡に効果的な治療法

 

ニキビのクレーター跡に効果的な治療法をいくつかご紹介します。

 

肌のクレーターが目立つ場合、悪化する前に対策するための美容医療として、さまざまな施術方法が用いられています。

 

 

 

トライフィルプロ

この施術は、肌への負担が少ないCO₂ガスを針で注入し、凹んだ組織を内側から持ち上げることを目指します。

 

施術後は、即効性のある効果が実感できるとともに、個々の肌状態に合わせた薬剤（例えば、コラーゲン生成を促すものや細胞の再生を助けるもの）を微量ずつ調整して注入することで、再びクレーターができにくい仕組みになっています。

 

 

 

ポテンツァ

ポテンツァは、極細の針先から発生する高周波を利用して、肌内部に局所的な熱刺激を与えます。

 

これにより、熱による創傷治癒効果でコラーゲンやエラスチンの生成が促進。

 

また、患者さんの状態に応じた薬剤（たとえば、内側からのケアを強化する薬剤など）を組み合わせることで、より効率的な改善が期待できます。

 

 

 

ダーマペン

ダーマペンは、マイクロニードルによって肌に微小な穴を開け、自然な創傷治癒反応を誘発する施術です。

 

シンプルな手法ながら、細かい部分へのアプローチが可能で、多くのクリニックで採用されている点が人気の理由となっています。

 

薬剤の併用により、さらに効果を高めることもできます。

 

 

 

マッサージピール

マッサージピールは、専用のピーリング剤を用い、熟練の手技で肌内部に浸透させる施術です。

 

高濃度トリクロロ酢酸や低濃度過酸化水素、コウジ酸などが含まれるため、新陳代謝の促進、毛穴の引き締め、ハリやツヤの向上など、複数の肌悩みに対応可能です。

 

針やメスを使わないため、痛みが少なく安心して受けられます。

 

 

 

ミックスピール・サリチル酸ピール

これらのピーリングは、古くなった角質を柔らかくして除去しやすくする効果があります。

 

表皮では毛穴の引き締めやニキビの予防、真皮層ではコラーゲンやエラスチンの生成を促すため、時間をかけて全体的な肌質改善が期待できるのです。

 

通常は2～4週に1回の施術を継続することで、効果が実感できるとされています。

 

 

 

TCAピーリング

TCAピーリングは、トリクロロ酢酸を利用した施術で、従来のAHAやBHAよりも深い層まで作用します。

 

酸の創傷治癒効果により、真皮層でのコラーゲン生成が促進されるため、より高い効果が期待できます。

 

ただし、施術後にはかさぶたなどのダウンタイムが発生することがあるため、十分なアフターケアが重要です。

 

 

 

サブシジョン

クレーター状に陥没した部分には、サブシジョンが効果的です。

 

針を用いて凹んだ部分の固くなった繊維を切断し、肌を内側から持ち上げることで改善を図ります。

 

広範囲や深い凹みの場合、ヒアルロン酸の注入を併用することで、一時的なボリューム補填とともに、時間とともに自然な修復が進むのが特徴です。

 

 

クレーター跡予防のための具体的な対策

 

どれだけケアを徹底しても、生活環境の変化など外部からの刺激で新たなニキビが発生することは避けられません。

 

新たなニキビが跡にならないよう、事前の予防対策と適切なケアが不可欠です。

 

以下に、クレーター跡予防のための具体的な対策をまとめました。

 

 

 

紫外線から肌を守る

紫外線は肌のバリア機能を低下させるほか、アクネ菌の増殖を促すため、ニキビに悪影響を及ぼします。

 

既にニキビができた場合は、さらに症状を悪化させないよう、紫外線対策を徹底することが重要です。

 

 

 

紫外線対策のポイント

• 日焼け止めの使用：季節や天候にかかわらず、紫外線は常に肌に降り注いでいます。

 

ニキビができた際にも、肌への負担を最小限に抑えながら紫外線から守るため、使用感や成分に配慮した日焼け止めを選ぶと良いでしょう。

 

• 帽子や日傘の活用：強い日差しの下では、帽子や日傘を使うことで、直接的な紫外線の影響を防ぎます。

 

近年は性別を問わず利用されるケースが増えており、クレーター跡の予防はもちろん、暑さ対策にも効果的です。

 

 

 

ニキビに不要な刺激を避ける

ニキビを無理に触ったり潰したりすると、細菌が入り込み炎症が悪化する恐れがあります。

 

結果として、治癒が遅れるだけでなく、肌に余計なダメージを与え、跡が残るリスクが高まります。

 

できる限り手を触れず、自然治癒を促すことが大切です。

 

 

 

バランスの取れた食事

バランスの取れた食事は、健康な肌だけでなく、筋肉や髪など体全体の健やかさを支えるために不可欠です。

 

肉、魚、卵、豆製品、乳製品などから得られるたんぱく質は、肌の土台を形成するだけでなく、各組織の維持に重要な役割を果たします。

 

これらの食品を十分に取り入れるよう心掛けましょう。

 

また、ビタミンも美肌を保つ上で必須の栄養素です。

 

果物や野菜に加え、玄米、肉、ナッツなど多彩な食品から摂取することで、様々なビタミンを効果的に補給できるのがおすすめです。

 

 

クレーター肌のセルフケア：基本ケアとリスク回避のポイント

 

クレーター肌のセルフケアを行う際は、洗顔や保湿、紫外線対策など、基本的なスキンケアの際に肌への刺激を最小限に抑えることが重要です。

 

自分の肌質に合った製品を選び、優しく扱うことで余計なダメージを防ぐことができます。

 

また、家庭用の美容機器で針を用いるタイプのものは、正確な角度で使用するのが難しく、症状の悪化や感染のリスクも伴うため、おすすめできません。

 

正しいケア方法については、専門医の指導を仰ぐのが安全です。

 

 

毛穴を目立ちにくくするスキンケア方法

 

ホームケアで毛穴のトラブルを完全に解消するのは難しいものの、日々のスキンケア次第で毛穴を目立ちにくくすることができます。

 

大切なのは、皮脂や汚れを確実に落とし、十分な保湿で肌を守ることです。

 

以下は、そのポイントを取り入れたケアルーティンの例です。

 

 

 

徹底的なクレンジング

メイクや皮脂、古い角質は毛穴の詰まりの原因となります。

 

• クレンジング前に手を洗い、清潔な状態で行う
• 目元などのポイントメイクは専用のリムーバーで先に落とす
• 使用量は守り、乾いた手で優しく行う
• 洗う順番は、Tゾーン、頬、目元、口元の順が望ましい
• 約30度のぬるま湯で丁寧に洗い流す

 

肌質に合わせたクレンジング剤を選ぶことも重要です。

 

オイルタイプはオイリー肌向き、ミルクやクリームタイプは敏感肌の方に適しています。

 

 

 

朝晩の正しい洗顔

クレンジング後は、洗顔料をしっかり泡立て、細かい泡で優しく円を描くように洗いましょう。

 

• 指の腹を使って小鼻など細部も丁寧に洗う
• 30度ほどのぬるま湯で洗い流し、摩擦を抑える

 

以上のことがポイントです。

 

特に夏場は皮脂分泌が多くなるため、朝の洗顔時にダブル洗顔不要なクレンジング剤の使用もおすすめです。

 

 

 

集中的な保湿ケア

洗顔後は、たっぷりと保湿をして肌のバリア機能をサポートします。

 

• 化粧水はビタミンC誘導体、セラミド、ヒアルロン酸など保湿効果の高い成分を含むものを選ぶと良いでしょう
• 乳液の後に毛穴の引き締め作用があるトーニングローションを使用すると、さらに効果が期待できます
• 最後にクリームで油分のベールを作り、水分の蒸発を防ぎましょう

 

これらのステップを日々実践することで、毛穴の目立ちを軽減し、健やかな肌へと導くことができます。

 

 

専門医の受診を検討すべきタイミング

 

以下のような症状がある場合は、できるだけ早めに受診することをおすすめします。

 

• ニキビの炎症が2週間以上続いている
• 市販薬を使用しても改善が見られない
• すでに肌に軽い凹みができている
• 同じ箇所に何度もニキビが繰り返しできる

 

このような状態が続くと、クレーター跡として残るリスクが高まります。

 

一度クレーターができると、治療が難しくなり、回復に時間がかかる可能性があるため、できるだけ早い段階で適切な処置を受けることが大切です。

 

症状が軽いうちに専門医に相談することで、負担の少ない治療で改善できる可能性が高まります。

 

 

まとめ

 

クレーター状のニキビ跡は、ニキビの炎症が真皮層にまで及び、肌の組織が損傷することで生じます。

 

一度できてしまうと自然なターンオーバーでは修復が難しく、セルフケアのみでの改善は困難です。そのため、早い段階で適切な予防とケアを行うことが重要です。

 

クレーター肌を防ぐためには、ニキビの炎症を悪化させないことが大切です。

 

紫外線対策や保湿を徹底し、刺激の強いスキンケアを避けることが予防につながります。

 

また、食事や生活習慣の見直しも肌の健康を維持する上で欠かせません。

 

すでにクレーター跡が残ってしまった場合、セルフケアでは改善が難しいため、美容皮膚科での治療が効果的です。

 

トライフィルプロ、ポテンツァ、ダーマペン、ピーリング、サブシジョンなど、肌の状態に応じた治療法を選ぶことで、症状の改善が期待できます。

 

また、早めの専門医の受診がカギとなります。ニキビが長引いたり、何度も繰り返したりする場合は、放置せずに医師に相談することで、クレーター跡のリスクを減らせます。

 

適切なケアを継続することで、クレーター肌の予防や改善につなげていきましょう。